EXPO PLL Talks
EXPO PLLトークス
〈アーカイブ動画公開〉
杉山央氏 EXPO PLL Talks「アート&インパクト:イノベーターと共に考えるアフター万博の世界」vol.16
第16回となる今回は、大阪・関西万博シグネチャーパビリオン「いのちのあかし」計画統括ディレクターを務める杉山央氏(新領域株式会社 CEO / Art+Tech Producer)をゲストに迎えました。「チームラボボーダレス」や「TOKYO NODE」などの施設の立ち上げに関わってきた杉山氏が、大阪・関西万博で都市の記憶や人の対話をテーマにした全く新しいアート体験の創出を目指しています。
当日のイベントの様子は公式YouTubeチャンネルにてご視聴いただけます。
<イベント内でのトーク抜粋>
街を舞台にアートを仕掛ける~森ビルでの挑戦と“表現者の味方”としての視点~
杉山氏のキャリアは、街を舞台に“体験できるアート”を仕掛けることで一貫しています。学生時代には街中でゲリラ的なアート表現を行うなど、都市空間と人々の関係性に強い関心を持ち、アートとテクノロジーを掛け合わせた創作に没頭していました。
その後、森ビルに入社し「六本木ヒルズ」や「虎ノ門ヒルズ」などの都市開発に関わる中で、アーティストと都市との接点を設計することに注力。特に「森ビル デジタルアートミュージアム:エプソン チームラボボーダレス」では、チームラボと共に世界最大規模の体験型アート施設の企画を主導しました。
杉山氏は常に「表現者の味方」であることを自認し、アーティストが自由に街を使える環境づくりに奔走してきました。「作品を飾る場」ではなく、「その場自体が作品となる」空間づくり。鑑賞者が能動的に入り込む“体験設計”は、アート、エンタメ、都市開発の境界を越える杉山さん独自のアプローチです。
万博で問いかける「対話と記憶」 ~古校舎を再生したパビリオン「いのちのあかし」~
2025年の大阪・関西万博では、河瀬直美さんがプロデューサーを務めるシグネチャーパビリオン「いのちのあかし」において、杉山氏は計画統括ディレクターとして建築・体験の全体設計に関わっています。
このパビリオンでは、新たな建物をゼロから建てるのではなく、廃校となった木造校舎を解体・移築。来場者が「記憶を宿した空間」に身を置くことで、時間と空間を越えた感情や郷愁に触れる設計がなされています。
内部では、観客と“誰か”がスクリーン越しに10分間の対話を交わすインスタレーションを展開。相手が誰なのか、どこにいるのかも分からない状況の中で、純粋な人と人とのつながりを可視化していきます。河瀬直美氏の“筋書きのない映画”のような演出を通して、AIでもVRでも代替できない「人間らしさ」と「関係性」が浮かび上がる構造です。
杉山氏はこのパビリオンを「みんなでつくるアート」と語り、記憶を継承し、対話を育む体験こそが、アートの新しい価値であることを提示しています。
イベント概要
日時:2025年3月17日(月)
会場:Akasaka Gradation(赤坂サカス広場)
ゲスト:杉山央 氏 (新領域株式会社 CEO / Art+Tech Producer)
モデレーター:鈴木大輔(株式会社アートローグ 代表取締役CEO、Study:大阪関西国際芸術祭 総合プロデューサー)
主催:公益財団法人2025日本国際博覧会協会、大阪関西国際芸術祭実行委員会(株式会社アートローグ内)
プロフィール

杉山央(SUGIYAMA Ou)
新領域株式会社 CEO / Art+Tech Producer
2018年「MORI Building DIGITAL ART MUSEUM: EPSON teamLab Borderless」室長を経て、2023年虎ノ門ヒルズ「TOKYO NODE」の企画責任者としてRhizomatiks、蜷川実花との体験型展覧会を連続して手掛ける。
2025年大阪・関西万博シグネチャーパビリオン「いのちのあかし」計画統括ディレクター、2027年横浜国際園芸博覧会テーマ事業館・展示ディレクターとして新たな体験づくりと施設プロデュースをする。
文化人に過去れた家庭に生まれ、両祖父は文化勲章受賞の日本画家・杉山寧と建築家・谷口吉郎。伯父は建築家・谷口吉生と小説家・三島由紀夫。

鈴木大輔(SUZUKI Daisuke)
株式会社アートローグ 代表取締役CEO、Study : 大阪関西国際芸術祭 総合プロデューサー。
1977年11月3日 文化の日生まれ。大阪市立大学都市研究プラザのグローバルCOEに於ける研究プロジェクトを経て起業。2014年グッドデザイン賞受賞、2015年度 京都大学GTEP プログラム(文科省)ファイナリスト、2016年ミライノピッチ(ビジネスコンテスト:総務省近畿総合通信局)においてグローバルイノベーションに値するOIH 賞を受賞。
2017年7月7日「Arts for Human and Planet」をビジョンに株式会社アートローグ設立、代表取締役CEO就任。
2025年の大阪・関西万博を機に世界最大規模の「大阪関西国際芸術祭」の創設を目指し、2022年1~2月「Study: 大阪関西国際芸術祭」を開催。
アートを利活用し、より良い社会の実現を目指すアートイノベーター。
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