「Study : 大阪関西国際芸術祭2025」第1弾 アーティストを発表
ロン・ミュエック、パトリシア・ピッチニーニ、マウリツィオ・カテラン、釜ヶ崎芸術大学らが、「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマとする万博年に「人間とは何か。」を考察しStudyする
Study : 大阪関西国際芸術祭実行委員会(株式会社アートローグ内 )は、文化芸術・経済活性化や社会課題の顕在化を意味する「ソーシャルインパクト」をテーマとした大規模アートフェスティバルの開催を目指し、その実現可能性を検証するためのプレイベントとして、2022年より過去3回、国際芸術祭を開催してきました。この度、大阪・関西万博とStudy : 大阪関西国際芸術祭2025の開催半年前、第1弾として28組のアーティストを発表します。
Study:大阪関西国際芸術祭2025の参加アーティストとしては、実物と遥かに異なる大きさの作品で見る者に違和感を植え付ける”ロン・ミュエク(オーストラリア)”、異種交配によってつくり出されたかのような見たこともない生命体をリアルな存在感で表現する”パトリシア・ピッチニーニ(シエラレオネ)”、ユーモラスでありながら現代社会の矛盾を喚起する視点を投げかける”マウリツィオ・カテラン(イタリア)”らが参加。これらの作品は、大阪府出身のこめ世界的建築家・安藤忠雄が美術館として建築した「大阪文化館・天保山」(旧サントリー・ミュージアム)を会場に、ドイツの研究機関”Institute fur Kulturaustausch, Tubinga”と連携し、人体や身体の一部の形態、輪郭、質感をリアルに表現、ハイパーリアリスティックな彫刻作品を発表します。
また、過去3回のStudy:大阪関西国際芸術祭において、大阪の歴史や産業に深く関わる西成エリアで、アートの力に注目し多様な出会いを生み出してきた「釜ヶ崎芸術大学」と「kioku手芸館 たんす」を拠点に展開する「NISHINARI YOSHIO」が、2025年も西成エリアを中心に参加します。(その他の第1弾発表アーティストについては表をご覧ください)
Study:大阪関西国際芸術祭2025は、4月から10月に開催される「2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)」に合わせて、大阪・関西万博会場内で「Study:大阪関西国際芸術祭 / EXPO PUBLIC ART」を開催するとともに、上述の「大阪文化館・天保山」、西成エリア、他、黒川紀章建築の大阪国際会議場・中之島、船場、JR大阪駅エリアなど、大阪・関西地区の様々な場所で展覧会やアートフェア、アートプロジェクトを展開。「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマとする万博年に「人間とは何か。」を考察します。今後決定する参加アーティスト・会場については、随時発表して参ります。
◯主な参加アーティスト
※写真は参考作品です
〈大阪文化館・天保山〉
ロン・ミュエク / Ron Mueck
ロン・ミュエクは、20年以上にわたって映画や広告業界でモデルビルダーや特殊効果担当者として働いた後、1990年代半ばから独立しアーティストとして活動している。シリコンとアクリルで作られた彼の超リアルな彫刻は、実在のモデルや粘土で作られたマケット(模型)に基づいて制作されることが多い。誕生、病気、死といった人生の主要なサイクルが彼の主な関心事である。細部まで忠実に再現されているように見えるが、彼の作品は現実の再現ではない。むしろ、大きさで遊んでいるのだ。ミュエックの被写体は、超現実的な細部とともに、実物よりもはるかに大きく、あるいははるかに小さく、相対的な大きさや知覚的距離に関する既成概念に挑戦している。
Ron Mueck, Untitled (Man in a sheet), 1997
© Ron Mueck Courtesy of Olbricht Collection and Anthony D'Offay, LomdonPhoto: Joachim Fliegner, Bremen
パトリシア・ピッチニーニ / Patricia Piccinini
経済学と絵画を学んだパトリシア・ピッチニーニは、シリコーンとプラスチックで、動物と人間の中間的な存在、あるいはサイバー・テクノロジーと人間の組み合わせのような作品を制作するオーストラリアのアーティストである。一見したところ、毛むくじゃらの体の一部や裏返ったべたべたした部分など、超リアルなデフォルメされた姿は、不吉で近寄りがたい印象を与える。しかし、作家は異種交配された生物に尊厳の感覚を吹き込み、見る者に親しみやすい存在にしている。彼女の作品は、生命の価値についての根本的な倫理的、道徳的な問いを投げかけ、自然、テクノロジー、誕生、創造、死の境界線において、何が生命を構成しうるかについての定義を探求している。
Patricia Piccinini, The Comforter, 2010
© Patricia Piccinini Courtesy of Olbricht Collection and the artist
マウリツィオ・カテラン / Maurizio Cattelan
マウリツィオ・カテランは芸術家としてのキャリアの中で挑発的かつ不敵と見做される行為を演出し、現代社会の矛盾を喚起する作品を世に送り出しています。1980年代後半〜90年代前半に作品を発表した時期はイタリア国内での政治的・社会的緊張が高まっていた世相と重なる。カテランは、現代社会の矛盾や亀裂、小市民生活の矛盾に関心を示し芸術システムの冒涜からイタリアのアイディンティティや歴史まで多様なトピックを作品に投影していた。ニューヨークに拠点を移してからは、世界的に影響力のある芸術家として発展し、数々の有名な作品を発表した。カテランの重要かつ代表的な作品には、ミラノ証券取引所前の巨大な公共彫刻「L.O.V.E.」(2010年)や挑発的な「America」(2016年)がある。
Maurizio Cattelan, Ave Maria, 2007
© Maurizio Cattelan Photo: Attilio Maranzano Courtesy of Maurizio Cattelan`s Archive and Institute for Cultural Exchange, Tübingen
トニー・マテッリ / Tony Matelli
トニー・マテッリはニューヨーク、ウィスコンシン、ミシガンで学んだ後、ジェフ・クーンズのもとで数年間活動した。彼の作品は、重力が停止し、時間が止まったかのように見える。重力は停止したように見え、時間は止まったように見える。彼のデフォルメされた彫刻の超現実的な技術的完成度と、自己矛盾的あるいは超現実的な構成への配置は、不条理さを際立たせる。多くの場合、彼の人物はコミカルに奇妙な状況に絡めとられていたり、夢遊病者であったり、ピアノに轢かれていたりする。
Tony Matelli, Josh, 2010
© Tony Matelli Courtesy of the artist and Institute for Cultural Exchange, Tübingen
カズ・ヒロ / Kazu Hiro
カズ・ヒロはハリウッドでメイクアップアーティストとしてキャリアをスタートさせ、映画界で数々の賞を受賞した。2012年、現代彫刻にほぼ完全にシフトした。特に超リアルな彫刻に専念している。特殊メイクアップ効果における彼の経歴は、彼の芸術的実践に反映され作品に驚異的な技巧性を与えている。樹脂やシリコーンなどの素材を使い、等身大よりも大きな人物像の制作に励む。彼の作品は、アイコニックなアーティストや有名な人物を戦略的に流用することで、異常なまでの親密さと距離感の間で揺れ動いている。
Kazu Hiro, Andy Warhol, 2013
© Kazu Hiro Courtesy of the artist and Institute for Cultural Exchange, Tübingen
〈西成エリア〉
釜ヶ崎芸術大学 / Kamagasaki University of the Arts
2012年より大阪市西成区釜ヶ崎にて開講。NPO法人こえとことばとこころの部屋(ココルーム)が運営する。釜ヶ崎の街を大学にみたて「学び合いたい人がいれば、そこが大学」として、地域のさまざまな施設を会場に、天文学、美学、合唱など、年間約80〜100講座を開催する。近年は釜ヶ崎に暮らす人たちの高齢化により、記憶や記録に注力しながら「であいと表現の場」として活動する。近隣の高校や中学校への出張講座や大阪大学との協働講座も実施。2019年、ペシャワール会で井戸を掘ってきた蓮岡氏の協力を得て、釜ヶ崎の元日雇い労働者に教わりながら、こどもや旅人、難民など700人とスコップで井戸を掘った。ヨコハマトリエンナーレ、アーツ前橋、さいたま国際芸術祭など、国際的な芸術領域での活動の場を広げている。
釜ヶ崎芸術大学 大阪関西国際芸術祭展示風景 2022
「Study:大阪関西国際芸術祭2025 第1弾アーティスト・団体一覧
アーティスト名(日本語) |
アーティスト名(英語) |
生没年 |
出生国(地域) |
大阪文化館・天保山 |
|||
Duane Hanson |
1925−1996 |
アメリカ |
|
John De Andrea |
1941 |
アメリカ |
|
Jacques Verduyn |
1946 |
ベルギー |
|
Daniel Firman |
1966 |
フランス |
|
Glaser/Kunz |
1968 / 1972 |
スイス |
|
Tom Kuebler |
1960 |
アメリカ |
|
Mathilde ter Heijne |
1969 |
フランス |
|
George Segal |
1924-2000 |
アメリカ |
|
Brian Booth Craig |
1968 |
アメリカ |
|
Robert Graham |
1938-2008 |
メキシコ |
|
Fabio Viale |
1975 |
イタリア |
|
Carole A. Feuerman |
1945 |
アメリカ |
|
Maurizio Cattelan |
1960 |
イタリア |
|
Jamie Salmon |
1971 |
イギリス |
|
Kazu Hiro |
1969 |
日本 |
|
Valter Casotto |
1980 |
イタリア |
|
Ron Mueck |
1958 |
オーストラリア |
|
Sam Jinks |
1973 |
オーストラリア |
|
Zharko Basheski |
1957 |
北マケドニア |
|
Marc Sijan |
1946 |
セルビア |
|
Evan Penny |
1953 |
南アフリカ共和国 |
|
Berlinde de Bruyckere |
1964 |
ベルギー |
|
Tony Matelli |
1971 |
アメリカ |
|
Allen Jones |
1937 |
イギリス |
|
Mel Ramos |
1935-2018 |
アメリカ |
|
Patricia Piccinini |
1965 |
シエラレオネ |
|
西成エリア |
|||
Kamagasaki University of the Arts |
2012 |
日本(大阪) |
|
NISHINARI YOSHIO |
|
日本(大阪) |
Study : 大阪関西国際芸術祭 2025 開催概要
◼️Study:大阪関西国際芸術祭2025について
2025年4月13日(日)から10月13日(月)の期間に開催する「2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)」の会期に合わせて、大阪・関西万博会場、安藤忠雄建築の大阪文化館・天保山、黒川紀章建築の大阪国際会議場・中之島、西成、船場、JR大阪駅エリアなど、大阪・関西地区の様々な場所で展覧会やアートフェア、アートプロジェクトを展開するアートイベントです。文化芸術・ 経済活性化や社会課題の顕在化を意味する「ソーシャルインパクト」をテーマに、大阪市内一帯を利用した関西発の文化芸術を世界に向けて発信するほか、ドイツや韓国、アフリカ諸国の機関とコラボレーションしたプロジェクトなど、アートを通じた国際交流を行います。
名称:
Study : 大阪関西国際芸術祭 2025
英語表記 Study: Osaka Kansai International Art Festival 2025
開催期間:
2025年4月〜10月
会場:
大阪・関西万博会場内、大阪文化館・天保山(旧サントリーミュージアム)・ベイエリア 、中之島エリア(大阪国際会議場)、船場エリア、西成エリア、JR大阪駅エリア 他(2024年9月時点)
主催:
大阪関西国際芸術祭 実行委員会
【協力・後援】※前回実績 大阪府・大阪市、公益社団法人関西経済連合会、大阪商工会議所、一般社団法人関西経済同友会、 一般社団法人 関西領事団、公益財団法人大阪観光局、辰野株式会社 他
総合プロデューサー:
鈴木大輔(株式会社アートローグ 代表取締役CEO)
・公式サイトおよびSNS
https://osaka-kansai.art/
https://www.instagram.com/study_okiaf/
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