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第4章:変容する街でのアートの可能性

大阪市西成区の「釜ヶ崎」と呼ばれる一部のエリアは、かつては日雇い労働者の街として知られ、高度経済成長期には多くの労働者が集まりました。近年は高齢化や貧困、外国人居住者の増加、さらには不動産投資による地価上昇など、さまざまな社会的変化に向き合うエリアとなっています。
本芸術祭では、2022年の立ち上げ当初から、このエリアにおけるアートの実践に注目してきました。
この地で20年以上活動を続ける上田暇奈代氏が2012年に立ち上げた「釜ヶ崎芸術大学」、そして美術家の西尾美也氏が地域の高齢女性たちと立ち上げたファッションブランド「NISHINARI YOSHIO (西尾美也 + kioku手芸館「たんす」)」。今回で4回目の出展となるこの2組のアーティストによる取り組みは、この地域と深く結びつきながら、独自のアートの実践を展開しています。
さらに、築約100年の歴史を持ち、増改築を繰り返しながら昭和の面影を残す「山王ハモニカ長屋」を舞台に、プロダクション・ゾミアのキュレーションによる「喫茶あたりや」を新たに始動。現在も再生が進行するこの空間が、新たな創造と交流が生まれる場となることを目指します。

「あきらめへんで。釜ヶ崎アートセンター」

釜ヶ崎は大阪市西成区北東の一部の地域をさしますが、地図にあるわけではありません。「釜ヶ崎」とは、人生のなかで寄る辺のない、ひとりぼっちのような気持ちの状況なのかもしれません。釜ヶ崎の片隅で、存在を認め合い、表現しあう場と機会があると、さまざまなおもしろいことが起こるんです。
アートNPOココルームは、補助金や制度などはなく、自らこの場を運営しています。2003年喫茶店のふりから始まり、芸術大学・ゲストハウスのふりも加わり、「であいと表現の場」を開き、20年余たちました。苦労のしみこんだ無名の人々の表現は人生の機微をつたえ、今を生きることを深くしてくれます。孤独を味方にしている人たちの弱さが、ちからとなる瞬間に立ちあいつづけ、どれほど励まされたことか。
2024年12月、あいりん労働福祉センターのまわりで強制執行が行われ、建て替えへと進んでいくことでしょう。1970年の大阪万博を支えた労働者の街がまた変化します。
わたしたちはこの数年、センター跡地に釜ヶ崎の記憶と記録を抱え、未来へ手渡す、今を生きるための創造や対話、交流が生まれ、働きあうアートセンターをつくりたいと声をあげています。けれど、実現の兆しはみえません。
釜ヶ崎は生きること働くことを深く考えるまち。近隣で急増する外国人の人たちと言語をこえて交流したり、旅人と地域の人々が経験をともにする機会と場をつくっていきたいと考えています。
ここに宣言します。
あきらめへんで。釜ヶ崎アートセンター。 往生際には、無名の人々の表現のありったけとユーモアと工夫を!
※船場エクセルビルは期間限定、西成の釜ヶ崎芸術大学は365日オープンしています。

会期:
2025年4月11日(金) 〜 10月13日(月)

開館時間:
13:00 〜 19:00(最終入場は閉館30分前)
月曜休館日(祝日の場合は翌火曜)
※7月21日(月)・7月22日(火)はオープン

ココルーム・ツアー:
ココルームの建物の中を案内するツアーを定休日以外毎日、13:30,15:00,16:30,18:00に実施します。参加無料/予約不要。
お庭、井戸から、宿泊者しか入れないゲストスペース、屋上まで、解説付きでご案内します。一部日程(※)では、「詩人の部屋〜谷川俊太郎が書き、あなたも書く部屋」や、森村泰昌(美術家)+坂下範征(元日雇い労働者、釜ヶ崎芸術大学在校生)による「Our Sweet Home」の中にも入っていただけます。
「Our Sweet Home」&「詩人の部屋」見学可:4月10-13日,19日,20日、7月18-25日、10月11-13日
「Our Sweet Home」のみ見学可:4月26日,29日、5月3,4日、7月26日、10月4日
「詩人の部屋」のみ見学可:4月27日、5月5,6日、7月27日、10月5日

チケット:
チケット不要

会場:
ココルーム ― ゲストハウスとカフェと庭 釜ヶ崎芸術大学
大阪府大阪市西成区太子2丁目3-3

アクセス方法:
大阪メトロ御堂筋線/堺筋線「動物園前」駅 2番・8番出口より徒歩約5分

お問い合わせ:
大阪関西国際芸術祭事務局(株式会社アートローグ)
info@artlogue.org

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